ある晩、東京・京島の静かな通りで、アレクサンドルは小さな街のワインショップの扉を押した。
店先に、大文字で一言:APÉRO。
中は、簡素で、隅々まで行き届いている。物語を語るボトルの品揃え、思わず長居したくなる空気。その店の主が、ギヨームだった。
ギヨームは日本歴十二年。話すうちにアレクサンドルは、Apéro 京島が、より大きな全体のほんの一角に過ぎないと知る。もう一つの店、飲食事業、フランスとオーストラリアのワインを扱うEC、そして裏で回る本格的な輸入体制。当時ギヨームは、Apéro 青山の再開と、2025年末の二軒目のレストラン開業も準備していた。
その晩、まずワインの話から始まった。次に物流。そして日本。また会った。一度、二度、十度と。
ほどなく、関係の次元が変わる。アレクサンドルは複数の領域でギヨームのために働き始める。システムの構造化、CRM、キャンペーン、自動化、ドキュメント、業務プロセス。Apéro と新店舗を、勘だけに頼らず動かすために必要なすべて。
ギヨームは現場の実感と、自らの決断の履歴をもたらす。アレクサンドルは、その上に構造を与える。月日を経て、私たちはもはや発注者と業者ではなくなる。共同操縦者になり、やがて友人になった。
十二月、アレクサンドルが東京で結婚するとき、式を執り行ったのはネットで選んだ司会者ではなかった。ギヨームだった。
その頃には、開店の現場も、工事も、難しい決断も、共に幾度もくぐり抜けていた。そして何より、同じ結論にたどり着いていた。繰り返し目にする失敗を、他の人が繰り返さずに済むよう助けるものが、まだ足りない、と。
その土台の上に(実際の仕事、信頼、そして時間をかけて築いた友情の上に)私たちはDodai Studioを立ち上げることを決めた。




